公開日:2024.08.28
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新時代の働き方コラム
カスハラから従業員と組織を守る~屈しない組織体制の作り方~
カスタマーハラスメントの深刻化と社会的影響
近年、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が深刻な社会問題として注目を集めています。長時間の拘束や叱責、居座り、迷惑電話、土下座の要求、暴行、ネットへの拡散など、顧客からの迷惑行為は多岐にわたります。これらの行為は、従業員の心身の健康を害するだけでなく、企業のイメージや生産性にも大きな影響を与えています。
日本労働組合総連合会の調査によると、約3割の労働者がカスハラを経験したと報告しており、その影響は看過できないレベルに達しています。特に接客業や小売業、医療・福祉分野での被害が顕著であり、早急な対策が求められています。
カスハラ加害者の心理と行動パターン
カスハラ加害者は主に以下の2つのタイプに分類されます。
1.「正義感タイプ」:自分の要求が正当であると信じ、強引に主張する
2.「憂さ晴らしタイプ」:個人的なストレスや不満を従業員にぶつける
特に「憂さ晴らしタイプ」は、自身の行為が不適切であるという自覚があるため、防犯カメラや録音の事前告知によってカスハラを「抑止」することが効果的です。一方、「正義感タイプ」に対しては、冷静な対応と明確なルール説明が重要となります。
カスハラ対策の具体的方法
防犯カメラの設置と告知
- 店舗や事務所内に防犯カメラを設置し、その旨を明確に表示する
- カメラの存在自体が抑止力となり、不適切な行動を減少させる効果がある
会話の録音と事前告知
- 顧客とのやり取りを録音することを事前に告知する
- 録音されているという意識が、過激な言動を抑制する
従業員教育の徹底
- カスハラへの対応マニュアルを作成し、定期的な研修を実施する
組織としての対応方針の明確化
- カスハラに対する会社の方針を明確に定め、従業員に周知する
- 顧客に対しても、不適切な行為には毅然とした態度で対応することを示す
サポート体制の構築
- カスハラ被害を受けた従業員のためのカウンセリング制度を設ける
- 法的対応が必要な場合のサポート体制を整備する
顧客教育とコミュニケーション
- 適切な顧客対応と不適切な要求の線引きを明確にし、顧客にも理解を求める
- ポスターやウェブサイトなどで、互いを尊重する姿勢の重要性を訴える
カスハラ対策の法的側面
厚生労働省が労働施策総合推進法の改正を検討しており、カスハラ対策を企業に義務付ける方向で調整が進んでいます。
法改正により、以下のような対策が企業に求められる可能性が高いです。
1.カスハラ防止に関する方針の明確化
2.相談・苦情への対応体制の整備
3.従業員への教育・研修の実施
4.カスハラ発生時の迅速・適切な対応
5.プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
カスハラ対策の法制化は、従業員保護と健全な労働環境の確保を目指すものですが、顧客の正当な権利を制限しないよう配慮しながら進められる見込みです。
これらの法的要請に応えることは、従業員の保護だけでなく、企業のコンプライアンス遵守の観点からも重要です。
まとめ:屈しない組織体制の構築に向けて
カスタマーハラスメントは深刻な社会問題ですが、適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。従業員の安全と組織の健全性を守るために、経営者や管理者は積極的にカスハラ対策に取り組む必要があります。
重要なのは、単に個々の対策を実施するだけでなく、組織全体でカスハラに対する意識を高め、「屈しない組織体制」を構築することです。顧客満足を追求しつつも、従業員の尊厳を守り、不当な要求には毅然とした態度で臨む。そのようなバランスの取れた組織こそが、長期的に顧客からの信頼を得、健全な事業運営を実現できるのです。
カスハラ対策は、従業員の保護、企業イメージの向上、そして健全な社会の構築につながる重要な取り組みです。全ての組織が、この問題に真摯に向き合い、効果的な対策を講じていくことが求められています。
営業企画 酒井
2015年入社。30代 4歳1歳姉妹のママ。
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